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瑞光天とは- about -
瑞光天とは

ある日の臨死体験から一年後の臨死体験?

 
 ある日の臨死体験から、およそ一年後だったと思います。
まだ若かった私は、全てが思い通りにいかない気がして、本当に人生を投げ出したくなっていました。
自分の運の全てを取り上げられた気がして、生きることを諦めようかと考えていた日々は、秋彼岸の頃でした。
まだ残暑が厳しく、体の具合も良くはなかったと思います。
それで余計気が滅入っていました。
 赤いワインが、美しくカットされたグラスを通ってくる光に照らされて、綺麗なルビー色に見えるのが好きで、ウイスキーのグラスにワインを注ぎました。
三口目を口に含むと周りの風景が歪み始めました。
三口で酔う訳もなく、「何か変だな」と思いながら椅子から立ち上がろうとしたとき、意識を失いました。
 
 暗いトンネルを滑るように落ちて行き、「ここは前に来たことが有る」と思いながら、転がりながら水の中に落ちて行きました。
暗く静かな海のような水の中でした。
自分の体が上になっているのか下になっているのかも分からず、その水の中を必死で泳ぎました。
沸き上がる恐怖の中で、それは暫く続きました。
 必死で泳いでゆくと、やがて遠くに小さな光が見えてきました。
その光を目指して、死ぬほど苦しかったと思っていた毎日より、この暗い海から逃れて生きて居たくて、ただ泳ぎ続けました。
私は泳ぎながら、人生を投げ出したいと思った自分の心の流れを、酷く後悔していました。
生きて居たいと心から思い、必死で光の方に向かって、闇に引きずり込まれそうな恐怖に抗いながら、光になかなかたどり着けない苛立ちを募らせ、必死で手足を動かしました。
様々な日常を思い出しながら、叶わなかった夢のどれを思い出しても、この後悔に勝るものは有りませんでした。
そして心の中で、深く謝罪しました。
恐ろしく暗い・・・池なのか湖なのか海なのか分からない大きな水溜まりに落とされて、初めて己のエゴを知ったような愚かさを見詰めました。
すると光が近づいてきて、私がその光に吸い込まれた瞬間に、意識を取り戻しました。
何事も無かったような静けさの中で、床に転がっている私だけが、とても愚かで役に立たない擦り切れた荷物の様に思えました。
私に与えられたこの恐怖は、何かが私の心のあり様を罰したのであろうと思います。
私は床に転がったまま、暫く動くことが出来ませんでした。
 人は時折、何も理解できていないのに自分自身の不満の中で、取り返しのつかない最後の決定をしようとするかも知れません。
しかし己の命がある事に感謝することが出来ず、その命が続く意味も理解しようとしないなら、いつか悪魔の与える試練の中に放り投げられるかも知れないと思いました。
手を差し伸べても救う者もいない暗い世界の中で、光を求めて泳ぎ続けなくてはならない恐怖は、筆舌に尽くし難いものと言っても過言ではないでしょう、
この経験が異界への旅だったのか、ただの夢だったのかはもうどちらでも良いです。
あの日から、「私の過去の嫌な思い出」に心を苛まれることは無くなったと言えます。
あのような恐怖は二度と味わいたくありません。
 「もうこの世を離れて良いのだよ」と天からの許可が下されるまでは、「それ」を願ってはならないのだと理解しました。
 画像は青森県八戸市の種差海岸です。
 今日のフィーリングは、イングリット・フジコ・ヘミングさんの演奏で「ワルツ第7番ハ短調 ショパン」、サリナ・ジョーンズさんの「アントニオの歌」、伍芳(ウーファン)さんの「竹田の子守歌」かな